MSW-Lab

社会福祉士(医療ソーシャルワーカー)の実態を掲載します。

CASE#14 MSWは生涯同じ職場で就労するべき?④

 

みなさんこんにちはケイです。

 

このブログでは社会福祉士である私が日々の仕事の中で思ったことを発信していこうと考えています。

 

下記のブログを先に読んでいただくことを推奨します。

 

CASE#11 MSWは生涯同じ職場で就労するべき?① - MSW-Lab

 

CASE#12 MSWは生涯同じ職場で就労するべき?② - MSW-Lab

 

CASE#13 MSWは生涯同じ職場で就労するべき?③ - MSW-Lab

 

MSW界でバンディエラになる

 

メリット① 信頼関係の向上

 

メリット② 地域への理解

 

メリット③ 社会資源の把握

 

前回の続きです。

 

メリット③社会資源の把握

 

皆さんがお住まいの地域にはそれぞれの特色があります。

 

地域の高齢化率や人口、立地や地形などが相まって、自治体独自のサービスが提供されています。

 

自治体によって異なるサービスも多く、あらゆる社会資源を同じ職場で長期間就労されているバンディエラはに把握しやすい傾向にあると思います。

 

みなさんも日々の臨床で利用されているであろう介護保険制度を例にとって考察します。

 

介護保険制度は、我々医療ソーシャルワーカー(以下社会福祉士と略す)にとって、比較的多く利用する制度です。

 

自宅退院後のフォロー、老人ホームへの入所など、あらゆる面で活用が期待されます。

 

このブログをみていただいている皆さんにとって身近な介護保険制度。

 

実は、自治体によって取り決めが大きく異なっていることをご存じでしょうか。

 

よく見受けられるのが、主治医意見書の運用です。

 

とある自治体は介護保険を申請すると、主治医のいる病院やクリニックへ主治医意見書作成依頼書が郵送されてきます。

※主治医意見書作成依頼書を郵送しない自治体もあります。

申請→主治医意見書作成

 

しかし別の自治体では、主治医意見書を作成してもらった後に申請をするといった運用もあります。

主治医意見書作成→申請

 

介護認定調査の運用も様々で、自治体で雇用されている介護認定調査員が新規申請の場合介護認定調査を行うことがほとんであると思いますが、

 

2回目以降の区分変更は担当のケアマネジャーが行う自治体もあるようです。

 

介護保険制度のみを切り取っても、自治体によって様々な運用方法があるため、バンディエラの大きなメリットといえるでしょう。

 

次回は、デメリットについて触れていこうと思います。

CASE#13 MSWは生涯同じ職場で就労するべき?③

 

みなさんこんにちはケイです。

 

このブログでは社会福祉士である私が日々の仕事の中で思ったことを発信していこうと考えています。

 

下記のブログを先に読んでいただくことを推奨します。

 

CASE#11 MSWは生涯同じ職場で就労するべき?① - MSW-Lab

 

CASE#12 MSWは生涯同じ職場で就労するべき?② - MSW-Lab

 

MSW界でバンディエラになる

 

メリット① 信頼関係の向上

 

メリット② 地域への理解

 

メリット③ 社会資源の把握

 

前回の続きです。

 

メリット②地域への理解

 

病院から一歩外へ出ると、在宅支援を提供するための社会資源が無数に存在しています。

 

市区町村、地域包括支援センターなどの行政機関。

 

葬儀、福祉用具などを提供する民間企業。

 

ケアマネ、訪問看護、かかりつけ医。

 

病院、老人ホームなどなど、あげ出したらキリがありません。

 

上記にあげた社会資源を活用する上で、あらゆる場面、状況で、様々な切り口から物事に切り込んだいかなる場面でも、最終的に「信頼関係」が極めて重要という結論に行き着きます。

 

信頼関係によって、物事を交渉する範囲が変化し、

 

信頼関係によって、利用する病院に向けて支援し、

 

信頼関係によって、提供するサービスを選択する。etc...

 

…といったようにMSWの支援は、あらゆる場面で地域との信頼関係を無意識に活用します。

 

信頼関係の構築はいわずもがな、対話、通話など小さな事柄の繰り返しで築きあげていくものであり、一朝一夕で構築できるものではありません。

 

よって、長期的に一つの病院で就労することにより、必然的に地域との関わりが増加し、信頼関係の構築に繋がり、地域での支援の選択肢が広がります。

 

結果的に、多くの情報をクライエントに還元できるようになるということが考えられるため、大きなメリットであるといえるでしょう。

 

次回は、メリット③ 社会資源の把握についてです。

 

 

 

 

CASE#12 MSWは生涯同じ職場で就労するべき?②

 

みなさんこんにちはケイです。

 

このブログでは社会福祉士である私が日々の仕事の中で思ったことを発信していこうと考えています。

 

前回の続きです。

MSW界でバンディエラになる

 

メリット① 信頼関係の向上

 

メリット② 地域への理解

 

メリット③ 社会資源の把握

 

MSW界でバンディエラになることのメリットはなんでしょう。

 

細かい部分まで上げたらキリがありませんので、3つに絞って行きます。

 

メリット① 信頼関係の向上

 

組織にとって、信頼関係はなくてはならないものです。長期的に同じ組織で就労すればするほどMSWの存在を認知してもらえるようになり、医師、看護師、コメディカルとの信頼関係が生まれ、組織内で支援が行いやすくなります。

 

みなさんも肌で実感されていると思いますが、信頼関係ゼロの入職直後と現在を比較すると、明らかにクライエントへの支援がやりやすくなっていると思われます。

 

MSWという職業が、どれだけ信頼関係で成り立っているかが象徴されますよね。

 

余談になりますが、医師や看護師がアルバイト可能な理由としては、MSWのような信頼関係を構築しなくても成り立つ業務が多いからでしょう。

 

対して、MSWは信頼関係が支援の要であるため、アルバイトは難しいように感じます。

 

「この日はMSWのAさんが担当して、次回は別のMSWのBさんで担当する。」といったことは、少人数の病院であればまだしも、MSWが大人数の病院は、MSWの部署と別で2〜3人の小規模なチームで支援しないとクライエントの把握が困難であると思われます。

 

信頼関係は長期的につくり上げていく傾向があるため、必然的に職場年数も増加し、バンディエラになっていくのでしょう。

 

組織内では、それが顕著に現れます。私がアプローチしてダメでも、バンディエラがアプローチしたらうまくいったなんていうシーンも少なくないです。

 

次回は、メリット② 地域への理解です。

 

 

CASE#11 MSWは生涯同じ職場で就労するべき?①

みなさんこんにちはケイです。

 

このブログでは社会福祉士である私が日々の仕事の中で思ったことを発信していこうと考えています。

 

12月28日のニュースで、サッカー日本代表森保一監督の続投が決定しました。

 

第2次森保政権となり、より一層森保監督が理想とするサッカーが体現できることを期待したいものです。

 

サッカー選手や野球選手など、多くのスポーツ選手はトレード、移籍などが頻繁に行われます。

 

トレード、移籍はチームの方針に応じて、使いたい選手が異なったり、マーケティング戦略など様々な理由で発生します。

 

重きを置く理由は人それぞれとはいえ、「その選手が必要」であることは紛れもない事実です。

 

トレードや移籍によって、選手が活躍するきっかけになることも少なくありません。

 

しかし、中には「バンディエラ」と呼ばれる、長く一つのチームに所属している選手もいます。

 

バンディエラ:イタリア語で「旗手」「旗頭」を意味します。

長期間同じチームの第一線で活躍し、高いカリスマ性があり、チームの顔である選手のことを指すようです。

 

長く所属しているということは、それだけ組織に貢献されてきた証拠といえるのでしょう。

 

大変前置きが長くなって申し訳ございません。

 

今回は、医療ソーシャルワーカー(以下MSWと略します。)が長期的に同じ職場で就労することについての考察を行なっていこうと思います。

 

みなさんの職場には、バンディエラはいらっしゃいますでしょうか。

 

同じ病院で十年以上就労されていて、ある程度の名声があるMSWが私の職場にも、地域にも見受けられます。

 

私も頻繁にその方々に社会資源や、支援のアプローチを教えてもらうことがあります。

 

経験豊富で、頼り甲斐があって、その人に聞けば大体のことが解決に向かいます。

 

MSW界でのバンディエラは、一見メリットしかなさそうな気がします。

 

しかし、転職経験のある私としては、デメリットもあるのではないかと考えます。

 

同じ病院、同じ地域で働き続けるメリット、デメリット。

 

正解、不正解の討論をしようとしているわけではありません。

 

メリット、デメリットをあげた上で、皆さんがどう考えるかが重要です。

 

多様性のある意見は大歓迎であり、マイノリティな意見であってもそれを否定することはこのブログでは一切ありません。

 

私は次回以降になりますが、MSW界でバンディエラであることのメリット、デメリットについて発信していこうと思います。是非皆さんの意見も聞かせていただけたら幸いです。

 

前回のCASEはこちらから。

CASE#10 医療機関における医療ソーシャルワーカーの人数配置考察

 

 

 

CASE#10 医療機関における医療ソーシャルワーカーの人数配置考察

みなさんこんにちはケイです。

 

このブログでは社会福祉士である私が日々の仕事の中で思ったことを発信していこうと考えています。

 

病院に働いている人なら知っている人も多いと思いますが、医師の転職は非常に多いです。

 

「臨床のの質を高めたい」 「お給料が少ない」 知人や学会を通じた「ヘッドハンティング」など理由は多様にわたりますがこのような理由が多い印象です。


看護師は、場所を選ばなければ転職の幅はかなり広いです。病院のみにとらわれず、クリニック、老人ホームや血液センターなど様々な場所に看護師が活躍する環境があります。
病院一つをとっても規模やどのような機能の病院なのかによっても働く内容が変化するため、のライフスタイルや学びたい分野に応じて選択することができます。

 

では、 医療ソーシャルワーカーはどうでしょうか。


社会福祉士という枠組みで考えれば、看護師と類似しており、 病院、診療所、行政、 老人ホーム独立型等様々な選択肢があります。

 

 医療ソーシャルワーカーにのみフォーカスを当ててみるとどうでしょうか。
病院、診療所、介護老人保健施設等が主な活躍の場所になり、やはり看護師と類似しています。

 

決定的に異なるのは、 必要とする 「人数」です。

 

病院を例にとって考えてみると、看護師は施設基準を満たすためにある程度看護師の人数の確保が求められます。 夜勤体制の確保や、 産休を見据えた人事を行うため、皆様の予想通り比較的多めに採用される傾向があります。


対して医療ソーシャルワーカー(以下社会福祉士と過程)は施設基準に該当するものは少なく病院の方針、規模、幹部の考え方などによって人数にばらつきがあるように感じます。


特に「病院の方針」 「幹部の考え方」は医療ソーシャルワーカーの体制が露骨に反映されます。


例えば、 500 床規模の同等の病院同士であっても医療ソーシャルワーカーの配置人数は異なります。
医療ソーシャルワーカーは診療報酬を生産する専門職ではあるものの、少なからず人件費も生成するので、採用すればしただけの人件費がかさみます。

 

病院が想定する人件費相当の結果が出せなければ、人数を増やすことは難しいでしょう。
組織である以上仕方ないことですが、医療ソーシャルワーカーの人数が多い病院は、病院の方針に対してのニーズに合った結果を出しているからこそ多いというわけです。


「忙しいから」「患者が多すぎるから」だけでは社会人として交渉に欠けます。


看護師と異なり採用のキャパシティも、必要とされる人数も狭き門です。


しっかりとしたエビデンスを元に幹部と交渉していく必要があります。

 

CASE#9 MSWにおける働き方改革

 

みなさんこんにちはケイです。

 

このブログでは社会福祉士である私が日々の仕事の中で思ったことを発信していこうと考えています。

 

昨今の日本は様々な形で働き方改車の推進が進んでいます。

 

病院という組織も例に漏れるはずがありません。


近々では、医師の働き方改事がメディアに多く取り上げられているように、医療業界の働き方改革も様々な面でフォーカスされています。


私は医師ではありませんので専門的な言及は出来ませんが、自分の患者さんに対しての責任感から時間外労働が増えているではないかと思っています。

 

この現状をどうにか打戒しようと厚生労働省日本医師会などを中心に医師の働き方改革が進められています。

 

医療職によっては比較的人員の代替が可能な専門職もいます。例えば、臨床検査技師や臨床放射線技師は技術を問われる一方で対クライエントに対して関わる機会が比較的少なめです。

 

検査データや画像データは医師の診断に用いることが多いため、医師の代替ができないとしても、先述した2つの専門職は代替が可能です。

 


では、MSWの働き方改革はどうなのでしょうか。

 

いくらマニュアルがあったとしても細かな個人の解択に差異があり、クライエントと関わった MSW の感覚が合わさっているため別のMSW が同じようにケースを進めても微妙なズレが生じることがあります

 

クライエントとの信頼関係や関係機関との連絡調整のニュアンスもデリケートな部分であり、私は別のMSW のケースを引き継ぐときは、非常に慎重になります。このような状況はどの病院でも起こりうる状況なのではないでしょうか。

 

私の病院では書面を用いて申し送りを行います。私の病院の方法が一番効率的とは思えません。しかし書面に代わるアイディアが浮かんでいないのも事実です。

 

皆さんの病院は様々な形で申し送りをされていると思いますが、画期的なアイディアがあれば是非ご教授して頂きたいです。


このような議論については表舞台に表出されていないだけであり、多かれ少なかれ、臨床の現場では発生している事案であることは間違いありません。

 

職能団体等で是非取り扱って欲しい議題の一つです

CASE#8 嘘つきなMSW

みなさんこんにちはケイです。

 

このブログでは社会福祉士である私が日々の仕事の中で思ったことを発信していこうと考えています。

 

私の今の実力では、満足のいくソーシャルワークができていません。

 

クライエントに情報提供する知識の量、面接技術、アセスメント能力etc...

 

医療ソーシャルワーカー(以下MSWと略します。)になぞっていうのであれば「退院支援」が満足にできていないということです。

 

誤解を招かずに発信するのであれば、「退院調整」はそれなりに行えています。

 

在院日数も気にしていますし、DPCもⅡ期以内に退院、転院ができるよう可能な限り尽力を尽くしているつもりです。

 

そう、「病院」という組織の視点から見れば、優良なMSWとなるのかもしれません。

 

現実は、社会福祉士になるために得た数々の心理学の知識も病院の経営のために手腕を発揮しているようなものです。例えるならば、病院の中の不動産営業マンのようなものです。

 

もちろん、その視点も必要です。しかし私の今の業務の天秤は、退院調整に重点が多くかかっており、理想の退院支援、つまりソーシャルワークを行えていないのです。

 

私は組織にとって、クライエントにとって、Win Winの関係を築くMSWである必要があります。

 

今はまだ、病院という組織にに貢献することに精一杯で、クライエントのニーズを十分にアセスメントできていません。

 

急性期という限られた時間の中で支援をまとめ上げるのは簡単ではありません。多少強引な退院、転院も時にはあります。しかしそれを私は、心理学や営業テクニック等で誤魔化しながら、クレームにならないよう最新の注意を払って退院、転院に結びつけています。

 

いってしまえば、クライエントに嘘をついているんです。私自身が最善だと思った支援が様々なジレンマによって、本当の意味でのソーシャルワークを阻害しています。

 

このままでは良くないと私自身理解しているからこそ、面接技術をはじめとした全体の底上げをこれから行なっていく必要があります。

 

組織に貢献できて、クライエントのニーズに応えることのできるソーシャルワーカーを目指す。この2つを両立してこそ、優秀なソーシャルワーカーなのではないかと私は考えます。