CASE#4 医療機関における医学モデルと生活モデルの共存①
みなさんこんにちはケイです。
このブログでは社会福祉士である私が日々の仕事の中で思ったことを発信していこうと考えています。
大学を卒業後は主に医療分野の社会福祉士、すなわち医療ソーシャルワーカーとして仕事を現在に至るまで続けています。
医療ソーシャルワーカとして働いて率直に皆様に伝えられることを書いていきます。
あくまでも個人としての見解です。
医療ソーシャルワーカーという仕事は非常にやりがいを感じます。
クライエントの自己実現を支援していくなかで医療ソーシャルワーカーは大きな役割を持っており、地域包括ケアシステムにおいて、生活モデルを広めていく担い手として欠かすことのできない存在になることは間違いないでしょう。
しかし、現実はまだまだ乗り越えなければいけない課題がたくさんあります。
日本の医療はまだまだ医学モデルの考え方が主流であり、生活モデルを重視する我々医療ソーシャルワーカーの考え方を理解していない医療従事者も非常に多くいらっしゃいます。
しかし国が示している地域包括ケアシステムは明らかに生活モデルを重視した取り組みです。
我々の考え方は間違ってはいないのですが、この考え方に賛同、あるいは理解していただける医療従事者が極端に少ないのです。
もっとかみ砕いて説明していきましょう。
医師をはじめとする多くの医療従事者は、
退院=「ゴール」という考え方です。
骨折が治ったので退院。抗生剤が終了したので退院。
医療機関としては一般的な考え方です。簡単にいうと根治したら退院。
一方、医療機関で唯一の福祉職である医療ソーシャルワーカーは、
退院=「スタート」という考え方をしています。
「骨折は治ったけど今の生活動作で入院前の生活が送れるかな」「インスリン注射が必要になったけど自宅でも安全に打てるかな」
様々な退院を阻害する要因を患者が克服して元の生活に戻れるように支援します。
患者の服薬を例にしてみると・・・
80代後半の女性。ADL自立。入院前は内服薬自己管理可能。退院後は独居の生活に戻る予定。
どこの病院にも入院している可能性があるような患者です。
7日間の入院で4日目には予定通り7日目の退院が確定していましたが、元々飲んでいるお薬に加えて、新しいお薬が2種類処方されました。
この患者は最後まで内服は看護師管理のままでした。
退院後は独居での生活が待っています。内服を管理するのは本人です。
病院という箱物の中では、確かに女性は退院されました。
実際に退院した女性は、新しい薬を2種類飲まなければいけないという新しい生活が待っているのです。
次回に続きます。